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暑熱馴化(しょねつじゅんか)の具体的な方法

2024.6.15

🔳暑さに身体を徐々に馴らす、暑熱馴化の具体的な方法🔳

 

こんにちは。SOL整形外科の内田です。

このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。

今回のご質問は、この時期に特に取り組んでいただきたい暑熱馴化(しょねつじゅんか)についてです。

夏場の熱中症だけでなく、疲労による集中力の低下からくる怪我の予防にもつながります。

ぜひ最後までお読みください。

理事長 内田

 

質問:

今年も暑くなりそうですね。陸上教室の先生から、家庭でも少しずつ暑さに身体を馴らしてくださいと言われたのですが、具体的にどのようなことをしたら良いか、教えてほしいです。

回答:

ご質問ありがとうございます。本当に、今年も暑くなりそうですね。陸上教室の先生、いいタイミングでアドバイスをくださいましたね。6月は本格的な暑さの前に身体を暑さに適応させていくいい時期です。基本的には、様子を見ながら暑さと運動に馴れていくこと、その際に体調に注意することが大切です。今日はスポーツドクターでもある整形外科医の観点から、どのように注意したら良いのか、4つのポイントを紹介します。できるところから取り組んでみてください。

1.温度と湿度の管理:

暑熱馴化の第一歩は、温度と湿度の管理です。気温が30℃以上に上昇し、湿度が高いと熱中症や熱ストレスのリスクが高まります。特に湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体温調節が困難になります。暑すぎるなと感じたときは、無理せず室内や日陰で過ごす時間を増やしましょう。

外出前に天気予報を確認し、気温と湿度を把握してください。いきなり高温・高湿度で運動することがないように気をつけながら、軽いジョギングなどで汗をかきましょう。

2.水分摂取量の確保:

暑い日には水分補給が特に重要です。子どもは大人と比較して体液を失いやすく、脱水症状のリスクが高まります。体重に応じて適切な水分摂取量を計算し、子どもにこまめに水を飲ませてください。

一般的生活における目安として、体重1kgあたり30〜40mlの水分が必要です。外出時や運動中はさらに水分補給を意識し、水筒を持参して定期的に水分を補給するようにしましょう。15分に1度、ふた口くらい飲むのが効果的です。

糖分が高すぎないように、水やお茶にしましょう。スポーツをする際は、糖分や塩分を加えましょう。ただし、甘すぎると吸収が悪いので、市販の経口補水液を参考にして味を見てください。

3.適切な服装と日焼け対策:

お子さんの服は、通気性の良い素材や明るい色の服を選びましょう。白い服と黒い服とでは、体温の上昇が全く違います。

日焼け止めを使って肌を保護し、日焼けや日射による肌のダメージを防ぎましょう。

適宜日焼け止めを塗り直し、日陰での休憩を行いましょう。

日焼けは軽微な火傷なので、身体は修復にたくさんのエネルギーを使います。

4.適度な運動と休息:

暑い日には急激な運動は避け、適度な運動を目指しましょう。段階的な運動の深量調節を目指したいですね。

運動後や外出後には、十分な休息をとって体力を回復させましょう。涼しい場所での休息や昼寝を行うことも有効です。

「WGBT指数」について

最後に、少し専門的な話もしましょう。

WGBT指数をご存じですか。WGBTは、暑熱指数と呼ばれ、気温、湿度、風速、日射量などを総合的に考慮した指標です。WGBT指数が高い場合は、熱中症や熱ストレスを蓄積するリスクが増大します。専用の黒球がついたWGBT計で計測するもので、今は暑い時期になるとテレビの天気予報などでも見かけることがあります。

WGBT指数を確認し、子どもの活動計画や適切な対策を立てることは、熱中症予防につながります。お子さんが活動しているスポーツチームでは、WGBT指数を計測しているでしょうか。指数を確認した上で、涼しい場所の確保をしておくなど、スポーツに取り組むための心構えをチームで話し合うことができるといいですね。

 

SOL整形外科スポーツクリニック

理事長  内田 繕博

 

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