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痛み止めについての基礎知識
2024.7.30痛み止めを使用するメリットとデメリット
こんにちは。SOL整形外科の内田です。このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。今回のご質問は、痛み止めについて。みなさん、痛み止めとどのように付き合っていますか?痛み止めを使うメリットとデメリットを、一緒に考えていきましょう。。
理事長 内田
質問:
水泳をしている息子が、なんとなく腰が痛いので市販の痛み止めを買ってきて欲しいと言っています。痛み止めって、使用量を守れば気にせず使っていいものなのでしょうか。
回答:
スポーツをするお子さんがなんらかの痛みを訴えている場合、ご家族で痛み止めの使用について正しい知識を持つことは非常に重要です。痛み止めは一時的に痛みを和らげる助けにはなりますが、使い方を誤ると逆に問題を引き起こすこともあります。ここでは、痛み止めのメリットとデメリットを説明し、適切な使用方法について一緒に考えていきたいと思います。
痛み止めの種類とその効果
一般的な痛み止めの種類
- アセトアミノフェン:風邪薬などにも含まれている痛み止めです。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):痛みの軽減に加えて、炎症を抑える作用もあります。
メリット
- 痛みの軽減:
- 怪我をした際の痛みを和らげることで、子どものストレスを軽減し、日常生活への支障を少なくします。
- 怪我の痛みによる夜間の睡眠障害を防ぎ、十分な休息を確保できます。
- 炎症の抑制(NSAIDsの場合):
- 怪我による炎症や腫れを抑える効果があり、回復を促進します。
- 日常生活の質の向上:
- 痛みをコントロールすることで、学校や友達との遊びに参加しやすくなります。
- 適切な痛み管理ができれば、痛みをかばうような無理な動きを避け、二次的な怪我を防ぐことができます。
デメリットと注意点
- 副作用のリスク:
- アセトアミノフェン:過剰摂取により肝臓に負担がかかることがあります。
- NSAIDs:長期間使用すると、胃腸障害や腎臓に負担がかかることがあります。
- 一時的な痛みの隠蔽:
- 痛み止めを使うことで、痛みが和らぎ、子どもが無理をして運動を再開し、怪我を悪化させるリスクがあります。
- 適切な診断と治療の遅延:
- 痛み止めを使用することで、痛みの原因が見えにくくなり、適切な診断や治療が遅れることがあります。
正しい痛み止めの使用方法
- 用法・用量を守る:
- 医師や薬剤師の指示に従い、適切な用量を守りましょう。使用しながらスポーツを行う際には、必ず医師に相談しましょう。
- 子どもの年齢や体重に応じた適切な量を確認し、自己判断で増減させないことが重要です。
- 使用期間を限定する:
- 長期間の使用は避け、短期間で痛みが軽減しない場合は、医師に相談することが必要です。
- 他の治療法と併用する:
- アイシングや圧迫、安静、リハビリテーションなどの非薬物療法と併用することで、回復を促進します。
痛み止めを使用する際の具体的なアドバイス
- 怪我の初期対応:
- 怪我をした直後は、アイシング(冷却)を行うことで痛みを軽減することができます。氷水を入れたアイシングバッグを用意し、15〜20分間しっかりと冷やします。
- 痛み止めの適切なタイミング:
- 怪我の痛みが強い場合や、日常生活に支障をきたす場合に痛み止めを使用します。運動の前後に使うことで、痛みの管理がしやすくなりますが、薬ごとに効果のある時間などが違いますから、痛み止めを飲みながら運動をする際には整形外科の医師に相談するようにしましょう。
- 観察とフィードバック:
- 痛み止めを使用した後も、子どもの状態をよく観察し、痛みが続く場合や他の症状が現れる場合は、すぐに医師に相談してください。
痛み止め以外の対処法
- リハビリテーション:
- 怪我の回復には、専門的なリハビリテーションが必要な場合があります。医師や理学療法士の指導のもとで、適切な運動を行いましょう。
- 栄養管理:
- 怪我の回復を促進するために、バランスの取れた食事を心がけましょう。特にタンパク質の摂取を心がけ、それに加えてカルシウムやビタミンDなどの栄養素を摂取することが重要です。
- 心理的サポート:
- 怪我によるストレスや不安を軽減するために、家族や友人のサポートを受けることも大切です。ポジティブな環境を作り、子どもが前向きに回復に取り組めるようにしましょう。
結論
スポーツをする子どもが怪我をした際の痛み止めの使用は、適切に行うことで痛みを和らげ、回復を助ける大きな助けとなります。しかし、痛み止めの使用にはメリットだけでなく、デメリットやリスクも存在します。
痛み止めの正しい使い方を理解し、子どもの健康を第一に考えた対応を心がけることが重要です。
疑問や不安がある場合は、必ず医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
SOL整形外科スポーツクリニック
理事長 内田繕博