バレーボールやバスケットボールなどで頻繁にジャンプや着地動作を行なったり、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツによく見られるオーバーユースで起こる膝のスポーツ障害です。
12〜20歳。
特に10代の男性に多いです。
大腿四頭筋が引っ張られることで膝蓋骨、膝蓋腱、脛骨粗面にまで強い牽引力が繰り返し加わり膝蓋腱微細損傷(エンテソパティー)を引き起こし発症します。
進行するとスポーツに支障を来したり慢性化し長期間のスポーツ禁止や治療が必要となる場合があります。
重症度分類(Roelsらによる重症度分類)は4つに分けられます。
stage1
スポーツ活動中で痛みを自覚するが、スポーツには支障がない
stage2
スポーツ活動中、活動後に痛みはあるが、スポーツ活動に支障がない
stage3
痛みは常にあり、スポーツ活動に支障がある
stage4
膝蓋靭帯の部分もしくは完全断裂している
診断
触診にて膝蓋腱の圧痛点がある
レントゲン・エコー・MRI(下記)にて他の障害と鑑別するとともに、膝蓋靱帯の損傷や炎症の程度を総合的に判断
治療
Stage1-3
局所の安静
運動に支障をきたす疼痛では、膝蓋腱への負担軽減のために運動を休止制限を行います。
大腿四頭筋とハムストリングの筋柔軟性の改善を目的としたストレッチングが重要となります。
また股関節周囲や腰椎の機能も大きく影響するため骨盤股関節を含め運動療法を実施します。
アイスマッサージ、アイシング
運動のあとは、筋肉が疲労してたり、患部に負担がかかり炎症(腫脹、熱感、痛み)が起きているためアイシングは効果的です。
注射や手術
痛みが強い場合や難治性の場合には、膝蓋腱へのヒアルロン酸注射やステロイド注射、近年ではPRP(多血小板血漿療法)注射などを行う場合があります。
また上記保存的治療が奏功しない場合や膝蓋靭帯の部分もしくは完全断裂している場合には変性した腱を部分的に切除したり修復したりする手術を行う場合があります。